平成30年度 事業報告

  • 1.事業概要

     文化、経済、学術、マスコミ、行政など多様な分野で活躍している人たちが一体となり、平成23年2月に発足した「文化・経済フォーラム滋賀」は8年目を迎えた。平成30年度も引き続き滋賀県の文化・経済の発展に寄与するため、各種事業の一層の充実に努めた。

     平成30年度は、多くのアーティストが滋賀県を拠点に創作活動をしていることに注目し、「文化ビジネス塾」や「文化で滋賀を元気に!シンポジウム」において、アーティストと地域をつなぎ新しい文化を育む道筋と可能性について議論した。議論の成果は、平成31年(第9回総会)の「文化で滋賀を元気に!」する提言の骨子となった。また、当フォーラムの設立から実施する「2018文化で滋賀を元気に!賞」の募集をはじめ、文化と経済の新たな展開を考える「文化経済サロン」、さらに、文化芸術を通して企業がアーティストや地域の人と交流する「文化経済アートステージ」などを行った。

     ○会員数は下記のとおり。 ※( )内は平成29年度会員数

      会員数 186人(団体) (195)
      ・内訳

          個  人 108人 〔県内97、県外11〕 (114)
          文化団体 29団体 〔県内28、県外1〕 (32)
          法  人 49団体 〔県内49、県外0〕 (49)

    2.事業実績

    (1)「文化で滋賀を元気に!」するプロジェクトの実施

    ①「2018文化で滋賀を元気に!賞」の実施

     文化の力で、活力あふれる地域社会の実現に貢献されている団体または個人に、感謝と今後の活動を期待して表彰する「2018文化で滋賀を元気に!賞」を実施した。県内各地から27件の取組に推薦があり、その中から4団体が大賞(1件)と各賞(3件)に選ばれた。
     募集期間:8月1日(水)~10月31日(水)
     候補件数:27件(応募件数:44件 ※重複候補17件)
     ★大賞<人形浄瑠璃で地域を紡ぐ文化賞>
      冨田人形共遊団(長浜市)

     ★各賞

    <土と炎でつなぐ、伝統文化を未来へ文化賞> 信楽陶匠会 (甲賀市)
    <ガリ版のふるさと文化賞> 新ガリ版ネットワーク (東近江市)
    <芸能で地域を元気づける文化賞> 関蝉丸神社芸能祭実行委員会 (大津市)

    ○表彰式:平成31年2月17日(日)

     受賞団体には、表彰状と記念のトロフィー(陶芸家、京都精華大学名誉教授 川崎 千足 氏・制作)、賞金を贈呈。

    ②「文化で滋賀を元気に!」する調査研究、提言

     滋賀県の文化振興に関する調査研究をするとともに、地域経済の振興という観点から文化を考え、新しい構想やプロジェクトの提案を行った。

    ア 文化で滋賀を元気に!シンポジウム

     アーティストと地域がつながることにより生み出される新しい文化について、その可能性と道筋をさぐるシンポジウムを開催し、具体的な実践を踏まえた講演やパネルディスカッションで考えた。
      日時:11月24日(土)13:30~16:30
      会場:コラボしが21 大会議室(大津市)
      テーマ:「アーティストと地域が生みだす新しい文化」
      講演:「アートは地域に何ができるか」
       講師:椿 昇 氏(現代美術家、京都造形芸術大学教授)
      パネルディスカッション:

    パネラー: 椿 昇 氏  
      笹原 司之 氏 (長浜芸術版楽市楽座運営委員会会長)
      松岡 秀樹 氏 (草津市職員)
      藤原 昌樹 氏 (彫刻家)
    コーディネーター: 十倉 良一 幹事

    イ 文化ビジネス塾(第11回)

     第2回総会・提言「文化ビジネスの開発で滋賀の文化と経済に新展開を」を具現化していくための「文化ビジネス塾」。今回は、「2017文化で滋賀を元気に!賞」を受賞した風と土 風と土 風と土 の交藝プロジェクト チームの皆さんから、移住アーティストと地元の交流、およびその課題等について話題提供いただいた。
      日時:7月28日(土) 10:00~12:00
      会場:山里暮らし 交房 風結い(高島市)
      テーマ:「移住アィストと地域をつなぐ~理念より実践トーク」
      話題提供:「風と土の交藝プロジェクトについて」
       講師:清水 安治 氏、 原田 将 氏、立石 善規 氏(風と土の交藝プロジェクトチーム)
      座談会
       講師:清水 安治 氏、 原田 将 氏、立石 善規 氏、十倉 良一 幹事、藤原 昌樹 企画推進員
      パネルディスカッション:

    ウ 提言研究

     当フォーラムの事業と連携しながら、滋賀県の様々な現状から文化と経済について、新たな展開につながる提言を行う「提言研究」。第8回総会での提言に向けて、地域に立脚した視点から滋賀の新たな観光の姿について考えた。
     当フォーラム設立以来、滋賀県での国民文化祭の開催に向けた提言や視察を実施しており、今年の勉強会では、平成29年開催県の担当者を招き、「国民文化祭」に対する考え方や取組内容などについて話題を提供していただいた。
     (ア)提言研究
      日時:1月22日(月) 18:00~19:30
      会場:旧大津公会堂 会議室(大津市)
      ・第8回総会「文化で滋賀を元気に!」する提言について
     (イ)国民文化祭の滋賀での開催に向けた勉強会   日時:9月13日(木) 13:30~15:30
      会場:コラボしが21 中会議室(大津市)
      ・話題提供「奈良県での国民文化祭の開催状況について」
      西川 聡 氏、宮田 仁志 氏(奈良県地域振興部文化課)

    ③「文化で滋賀を元気に!」シンボルマークの利用促進

     県内において文化振興に関する事業を行う団体等多くの方が、シンボルマークの利用を通じて、「文化で滋賀を元気に!」していく気運や一体感が醸成されるよう利用の促進に努めた。

    (2)「文化で滋賀を元気に!」する情報交換の場の提供

    ①総会・講演会・交流会の開催

     オプテックス創業者の小林氏から、創業から今日まで滋賀県で培われた企業文化や地域文化の振興について講演いただいた。また、「2017文化で滋賀を元気に!賞」の表彰式、「文化で滋賀を元気に!」する提言発表を行い、交流会では、様々な分野で活躍する会員との親睦を深めた。びわ湖ホール声楽アンサンブルによる演奏が総会に華を添えた。

    ア 第8回総会(講演会・交流会)

      日時:2月18日(日) 14:00~18:30
      会場:びわ湖大津プリンスホテル コンベンションホール「淡海」(大津市)
       (基調講演)117人 (総会)86人 (交流会)68人
    <議 事>
     第1号 平成29年度事業報告について
     第2号 平成29年度収支決算について
     第3号 平成30年度事業計画について
     第4号 平成30年度収支予算について

    イ 基調講演:「多様な企業文化が作る地域社会」

      講師:小林 徹 氏(オプテックスグループ(株)代表取締役会長兼CEO、学校法人京都成安園理事長)

    ウ 「2017文化で滋賀を元気に!賞」表彰式

    エ びわ湖ホール声楽アンサンブル 演奏会

      出演:黒田 恵美(ソプラノ)、迎 肇聡(バリトン)、植松 さやか(ピアノ)

    オ 「文化で滋賀を元気に!」する提言発表

      提言:『地域文化を育む、新たな観光を創造する』

    カ 交流会

    ②「文化経済サロン」の地域開催

     様々な分野で活躍する方を講師に招き情報交換「文化経済サロン」。11月は、 起業家の学びと交流の場を提供する滋賀県産業支援プラザ等との「ビジネスカフェ」、12月には、地域文化の振興や地域社会の活性化を目指す滋賀県公立文化施設協議会との「トップセミナー」をそれぞれ共催で開催した。「トップセミナー」では、「創造都市」の研究で著名な佐々木先生をお招きして、文化芸術を活かしたまちづくりの事例を紹介いただいた。

    ア ビジネスカフェ

      日時:11月28日(水) 13:30~16:30
      会場:滋賀県立文化産業交流会館(米原市)
      ・講演:「三方よしを実現するソーシャルビジネス~利益創造と社会貢献の両立を日本の文化に~」
      ・講師:黒田 史子 氏((株)テーブルクロス マーケティング部エンジェル倶楽部室長)
      共催:(公財)滋賀県産業支援プラザ、(公財)びわ湖芸術文化財団、淡海ネットワークセンター

    イ トップセミナー

      日時:12月9日(日) 11:00~15:00
      会場:びわ湖ホール 研修室、小ホール(大津市)
      講演:「文化芸術と地域活性化 ~創造都市と文化施設~」
         講師:佐々木 雅幸 氏(同志社大学経済学部 特別客員教授)
      鑑賞:「気軽にクラシック(18)アダム サクソフォン四重奏」
         曲目:L. アン ダーソアン/トランペット吹きの休日 ほか
      共催:滋賀県公立文化施設協議会

    ③「文化経済アートステージ」の開催

     会員の企業から提供いただいた会場で会員による演奏会を開催し、企業、演奏家および地域の方々が出会い交流し、文化芸術を身近に触れていただく場とした。
      日時:6月24日(日) 14:00~15:30
      会場:オプテックスグループ(株) ホール(大津市)
      内容:会社紹介
      コンサート:   

    出演: アンサンブル・キトム(北川 皎、中路 友恵、西岡 まり子、西岡 美衣子)、可視光番外地(オプテックスグループ(株)社員有志3人)

      共催:(公財)びわ湖芸術文化財団

    (3)「文化で滋賀を元気に!」する広報活動の展開

    ① ホームページによる発信

     当フォーラムの紹介や入会案内をはじめ、各種事業の情報提供や「文化で滋賀を元気に!」シンボルマークの利用促進を行った。
     ・事業の告知、実施報告、提言
     ・規約、役員、総会資料の公表
     ・「文化で滋賀を元気に!」シンボルマーク利用促進 など

    ② ニュースレターの発行

     当フォーラム事業の告知や結果、会員の事業案内、投稿などを掲載し、年2回発行した。
     ・第3号(6月発行)
      文化で滋賀を元気に!するプロジェクト、会員からの話題提供(井上 建夫 氏、藤野 滋 氏)、会員の活動紹介(琵琶湖汽船(株) 川戸 良幸 氏、写真家 長井 泰彦 氏)、「近江屋考③」 ほか
     ・第4号(12月発行)
      文化で滋賀を元気に!シンポジウム開催報告、文化経済サロン(トップセミナー)開催報告、会員の活動紹介(甲賀高分子(株) 深井 俊秀 氏、陶芸家 田中 哲也 氏)「近江屋考④」、第9回総会・講演会等の告知、平成30年度事業報告 ほか

    ③ 会員活動チラシの送付

     会員の活動チラシ等を当フォーラム事業案内に併せて、会員あてに送付した。

    (4)「文化で滋賀を元気に!」する事業への後援、参画等

    ①後援:8件 (10) ※( )内は平成29年度実績数

    ②参画:

      「近江の春 びわ湖クラシッ音楽祭 2018 、2019」推進委員
      「滋賀・びわ湖ブランドネットワーク」幹事(10月31日解散)

    ③加盟:全国メセナネットワーク(平成30年3月31日付)

    3.幹事会等の開催状況

    (1)幹事会

     10回開催

    1月1日(木)、2月9日(金)、3月8日(木)、5月10日(木)、6月14 日(木)、7月12日(木)、9月13日(木)、10月11日(木)、11月 8日(木)、12月13日(木)

    (2)企画推進会議

     5回開催

    4月25日(水)、6月27日(水)、9月3日(月)、10月29日(月)、12月19日(水)

     〇企画推進員 (規約第12条)
     

    氏 名 現役職名等
    秋村 洋 株式会社プラネットリビング 代表取締役
    角間 利昭 株式会社しがぎん経済文化センター 文化事業部次長
    加藤 賢治 成安造形大学 准教授
    門脇 宏 滋賀県立大学地域共生センターCOC+推進室COC+推進コーディネター
    黒田 秀子 NPO法人ひこね文化デザインフォーラム 事務局長
    谷山 友彦 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 副館長
    辻本 長 滋賀県立文化産業交流会館 副館長
    十倉 良一 京都新聞社論説委員
    中村 順一 文化・経済フォーラム滋賀 副代表幹事
    深井 俊秀 甲賀高分子株式会社執行役員 経営企画管理室 室長
    藤原 昌樹 彫刻家
    (オブザーバー)
    安部 茜湖
    滋賀県文化振興課 主任主事