何でもランキングから滋賀を考える - びわ湖芸術文化財団 地域創造部

 日経新聞の土曜日の紙面、NIKKEIプラス1の「何でもランキング」をご存知でしょうか。あるテーマについて専門家の「お薦め」を点数化し、西日本と東日本でそれぞれ10位までランキングする「人気投票」。行楽や観光のテーマが多く、「日本の公園県」を自任する滋賀県人として軽視できないランキングなのです。ランキングを見ていると、首都圏や京阪神が何を求めているのかが見えてきます。「湖国と文化」の紙面づくりにも活用できそうだと愛読しているのです。
 ランキングに滋賀が入っていると「やっぱり」と安心します。入っていないと「なぜだろう?」と気をもむことになります。結果にやきもきし、「琵琶湖に甘えすぎていないか」「頑張らないと滋賀県はじり貧になってしまうぞ」などと思うことが多いのです。
 最近の例をあげると、「家族で公園へ! お得に春満喫」というテーマがありました。結果は。東日本は①国営ひたち海浜公園」(茨城県)などが選ばれ、西日本は①水前寺江津湖公園(熊本市)②万博記念公園(大阪府)③国営海の中道海浜公園(福岡市)④奈良公園(奈良市)⑤梅小路公園(京都市)の順でした。琵琶湖を抱える滋賀県ですが10位以内に入っていないのです。
 これはいったいどういうことでしょうか。注によると、東で35カ所、西で30カ所の候補地を選び、その中から旅行の専門家らがそれぞれ5か所選び、それを点数化して集計したということでした。候補地にまさか滋賀がないということは考えられにくいのですが、上位に選ばれた公園の説明を見ると、いずれも大規模な花畑やちびっこ広場、遊具施設など人を引き付ける工夫がしてあり、しかも家族連れで安心して遊べるところでした。単に自然が豊かだけではだめな気がします。
 以前に、花畑(またはチューリップ畑)というテーマもありました。その時、上位を占めた他府県の例は、百万本~何十万本単位でした。意気込みが違うようです。「これでは滋賀は太刀打ちできない」と率直に感じました。こうなると、おそらく、地区ぐるみ、市町ぐるみの取り組みでないと県外の人を引き付けることが難しいのではないでしょうか。
 もう一つ気になったテーマに「おいしい日本茶 学べるカフェ」がありました。これは、日本茶が楽しめる喫茶特集で、目の前で急須に茶葉を入れてもらい、お菓子とお茶が楽しめるスポットが選ばれていました。京都、東京、その他に分けてベスト3を選んでいて、京都のベスト1は一保堂茶舗喫茶室嘉木でした。茶舗の奥にある、知る人ぞ知る穴場で、おそらく京都に行った時に訪れた人もあるのではないでしょうか。
 京都と東京は仕方ないとして、その他を見ると、ベスト3は①茶空間②茶町KINZABURO(以上静岡市)③茶亭SUMI(福岡市)でした。しかも、主な銘柄として取り上げられていたのは、村上茶(新潟県)、狭山茶(埼玉県)、静岡茶、伊勢茶、宇治茶、八女茶(福岡県)と鹿児島茶だけでした。滋賀県が誇る朝宮茶や土山茶の名前はなかったのです。
 目の前でお茶をいれてくれ、スイーツも楽しめる専門の喫茶店が果たして、朝宮茶や土山茶の茶どころにあるのでしょうか。「宇治は茶どころ、茶は政所」と歌われた永源寺地区(東近江市)を何回か往来していますが、残念ながらお茶を飲めるところは見つかってはいません。
 日本茶の嗜好はそれほど高くはなく、茶どころを通過する国道307号や国道1号、八風街道などの交通量を考えてみても営業が成り立たないことは容易にわかりますが、茶どころを自任する滋賀県としてはこうした喫茶の試みも必要な気がするのです。
 現状に甘んじることなく、工夫を重ねていけば、滋賀の自然文化や茶文化も本物になっていくのではないでしょうか。そうすればもっと県外のお客さんを引き付けられるように思います。

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